- 企業アカウントの評価基準
- ソーシャルメディアの「目的」っていったいどうやって決めたらいいの?
- 論文: 日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略 : 有効な活用とマネジメント
- 論文: Twitterを用いた顧客とのコミュニケーション-対話と拡散-
- 論文: 商品に関するTwitter上のコミュニケーションと販売実績の関連性分析
- 論文: ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略に関する考察
- 評価軸について
- メモ
■ 企業アカウントの評価基準
■ ソーシャルメディアの「目的」っていったいどうやって決めたらいいの?
ソーシャルメディアの「目的」っていったいどうやって決めたらいいの?|お悩み解決! ソーシャルメディアあるある情報|Web担当者Forum
企業アカウントの運用目的は主に3つ
- 商品、サービスを販売する
- ファンと交流する
- 認知度を拡大する
理想は「ファンと交流」しながらたまに告知投稿を交え、商品やサービスを紹介し、コンバージョンもしてくれるという状態であると、私は考えています。
「販売」を運用の目的とするなら、各種ソーシャルメディア広告の活用をおすすめします。むしろ販売のみを目的にするのであれば、特に通常の運用は考えなくてもコンバージョンリンクに誘導する広告を掲載しておけば事足ります。
「ゆるいツイートを繰り返している企業のTwitterアカウントのことを、商品購入時に思い出す」という確率が、85%を超える。
■ 論文: 日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略 : 有効な活用とマネジメント
日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略 : 有効な活用とマネジメント
http://www2.lib.yamagata-u.ac.jp/kiyou/kiyous/kiyous-45-1/image/kiyous-45-1-091to127.pdf
kiyous-45-1-091to127.pdf(1344)
■ 書誌情報
@article{120005860244, author="伊藤, 嘉浩 and 高橋, 優音", title="日本企業におけるSNSを用いたマーケティング戦略 : 有効な活用とマネジメント (上野芳昭教授 伏見和史教授 退職記念特集)", journal="山形大学紀要. 社会科学 = Bulletin of Yamagata University. 山形大学 編", ISSN="0513-4684", publisher="山形大学", year="2014", month="jul", volume="45", number="1", pages="91-127", URL="https://ci.nii.ac.jp/naid/120005860244/", DOI="", }
■ メモ
- 本稿の目的は、企業がSNSを活用する場合について、マネジメントの方法と費用に着目したこと
- 重要なことは、企業が情報発信に対して費用をかけている点
- SNSでの情報発信が売上に結び付くかどうかが不明で、担当者は悩んでいる
- 関連する先行研究も少ない
- 文献: Facebookマーケティング戦略
- 水野、高階、新保では、Twitterの発信内容を宣伝、挨拶、感謝、謝罪に大別し、「挨拶・感謝型」「バランス型」「宣伝型」「宣伝・感謝型」に分類した
- 鶴見、増田、中山では、Twitter上での一方向および双方向のコミュニケーションの数値が「話題性の代理指標」であるという仮説を提示している
- FacebookやTwitterといったプラットフォーム上にブランドとユーザーが混在しており、ブランドは企業の手だけでなく、そこにいるユーザーと共に創られるもの、ユーザーがブランドを広めていく存在であることにさらなる意味を見出し始めた
- LINEのメディア性能とマーケティング活用における3つの誤解: ファンを集めることとファン数維持にコストがかかるという点を理解せずにソーシャルメディアとしてLINEを扱うこと、LINE以外の媒体へ誘導して効果を上げているにもかかわらずLINE単体でROIを追求すること、クーポン配信によるO2O効果が見込めるが単純ではないこと
- パナソニック社事例
- 事業毎に、目的に合ったツールでSNSを運用している。情報を得るユーザー側としては、それぞれの興味に合わせて必要な情報のみ得られる利点があるものの、多数あることで混乱を招く欠点も存在する。
- Facebookは、パナソニックの「住まい」のイメージ、認知度の低下を改善するため立ち上げた。また、BtoBtoCの企業であり、Cに対して何か発信したい、コミュニケーションしていきたいという理由も
- Twitterはライトなコミュニケーションで、ユーザーと会話をしている緩い感覚が求められる。パナソニックとしては硬い企業であるため、違うツールだと考えている
- ジェットスター・ジャパン社事例
- 基本的にはセールスを見込んでSNSを利用している。TwitterをCRM、つまりコールセンターのやり取りをチャットで行っている。KPIはセールスとブランディング。
- ブランディングの指標としては認知度を調査している。100人に対して2つの質問を順に投げかけている
- 販売促進の主人公は会社であったが、今はエンドユーザーである。カスタマーがプロダクトをよく感じて、それをいかにほかの人に伝えていけるか、口コミのようなものをどのように会社が仕込めていくのか、というところが重要
- JAL社事例
- 記事の書き方のルールとして、実名で顔を出すというものがある
- 最終的に求めるのは選好性の向上である。KPIをファン数、エンゲージメント率に置いている。KGIを実際の顧客からの評価として、アンケート調査によって得られる数値を利用している。具体的に金額で効果が測れるものではない
- ソーシャルメディアはそこにコミュニケーションがあるものとしていて、LINEはプッシュ型、メルマガと一緒だという整理である
- ゼンショー社事例
- Twitterはアーンドメディア、LINEはペイドメディアとオウンドメディアの中間と位置づけている
- SNSの運用に関して、公式の建付でなにかやろうとした時に、クレーム受付所みたいになるのを恐れている。暴れられるようなアカウントは面白いとは思う反面、通年やり続けるのは大変である
- B-Rサーティーワンアイスクリーム社事例
- Facebookに関しては、ある程度ブランディングに特化したものと考えている
- LINEに関しては、ある程度のブランドディングと、マスメディアに近い、リーチを稼ぐという使い方がメインではないか
- Twitterをやっていないのは、他の二つに比べて炎上リスクが大きいため。お店に対しての意見がリプライで送られてきて、それにすぐ対応するのが難しい、ユーザー側から見れば無視されているという感情になってしまう、すなわちブランドロイヤリティの低下につながる行為になる
- どれだけ店舗に来てもらうかが効果に当たるが、FacebookにしてもLINEにしても測りきれていない。KPIは、Facebookではファン数、アクション数であるが、大雑把に測っているという状況である。LINEでは、友だち数がある。Web調査で認知経路を調査したことがあり、LINEはある程度の効果があるものだろう、ということは測れている
- 単純に情報がユーザーにリーチするだけでは購買行動につながらないということを肌で感じた。購買行動につなげるためには、単純に情報の伝え方の工夫や差別化、ユーザーにとって共感を得られるメッセージを伝えることが課題である
- ベネッセコーポレーション社事例
- Facebook=ブランディング重視、Twitter=コミュニケーション重視、LINE=プロモーション重視
- LINEはどちらかといえばバナー広告やメルマガのような広告と同じである。アクティブサポートの可能性模索、ブランディング貢献の可能性模索、クロスメディアでの可能性模索に利用している
- 運用指標は入会、会員数である。セールス目的ではFacebookやTwitterは難しい、という結論を得た。ファン数の増やし方について、セールスとしてすぐに効果が出ないため、広告を利用して一気に集めるのではなく、時間をかけて関係性を作ったユーザーに対して次のコミュニケーションをゆっくり行っていくことが望ましい。アンバサダーのような、興味関心が強く、周りに会社の情報を広めてくれるユーザーを捕まえるか、あるいはそうなるように育てていく
- アクティブサポートも含め、より良いコミュニケーションがとれることが重要である
- 内閣官房内閣広報室事例
- Twitterは、基本的には拡散メディアであり、ホームページやFacebookなどへ誘導するための入口として利用している。速報性があるため、いち早い情報を発信するのに利用している
- LINEやFacebookは友達との生っぽいコミュニケーションのためのツールとしており、友達目線でいかに発信できるか
- 政府からの情報を受け取ること自体が初めてだった人が多かったため、そういうパイプが作れたことが、首相官邸のSNSで一番大きな効果だった
- Facebook、Twitterについては、人の意識に止まらないツール、LINEは一回のインパクトが大きいツールであると考えている
- 普段からSNSに密着している人と、そうでない人たちで効果の違いがあるのではないか
- 24時間365日、20人近くの当番制で運用している
- マスコミを通さない一次情報として直接発信できるツールだと捉えており、お金がかからない割に、管理や企画が大変で、体制づくりなどお金ではない部分のコストや人件費が大きくなる
- ファブリカコミュニケーションズ社事例
- SNSコンサルティング企業
- Facebook自体、個々人のコミュニケーションの場であるため、そのコミュニケーションの中で売り込みをすると嫌われる
- TwitterはFacebookよりも拡散力、動員力、リアルタイム性は強いため、検討期間が短い商品の購買にはつなげやすい
- SNSでコストに見合ったリターンを得ることは少ないと見ている。また、TVCMのように効果検証が容易ではないことも課題の一つである
- SNSの将来に関して
- SNSの特性、移り変わりについて注視し、それぞれの属性にあったマーケティングを行うことが重要
- コンテンツをどのようにして作るか、体制作りが重要
- SNSに合わせて作るコンテンツを企業がいかに持つか。サービスの魅力、企業のミッション、ストーリーをどう組み立てていくかが重要
- 調査したすべての企業が、Facebookでのブランディングを重視している
- Twitterはコミュニケーションと情報拡散力が重視されている
- LINEはセールス・プロモーションとブランディングが重視されている
- SNSが直接売上に大きく貢献することはあまりないようである。SNSはあくまでブランディングツールであると捉えるべきである
- 企業としては「いかに読ませるか」ではなく、「いかに目を惹かせるか」「いかに目を疑わせるか」といったことをコンテンツの中に仕掛けていくべきであろう
- SNSはコンテンツ評価などの効果測定が難しい。企業が頭を悩ませるのは、このように費用対効果が不明確な部分である
- Facebookはブランディング、Twitterはコミュニケーション、LINEはプロモーションに適し、それに合ったコンテンツをどうやって作っていくかが重要
■ 論文: Twitterを用いた顧客とのコミュニケーション-対話と拡散-
Twitterを用いた顧客とのコミュニケーション-対話と拡散-
http://www.orsj.or.jp/archive2/or58-08/or58_8_427.pdf
or58_8_427.pdf(314)
■ 書誌情報
@article{110009631377, author="水野, 誠 and 高階, 勇人 and 新保, 直樹", title="Twitterを用いた顧客とのコミュニケーション-対話と拡散-", journal="オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch", ISSN="00303674", publisher="公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会", year="2013", month="aug", volume="58", number="8", pages="427-435", URL="https://ci.nii.ac.jp/naid/110009631377/", DOI="", }
■ メモ
- アカウント間で相互にフォローし合っているケースは少数で、Kwak et alの調査 (PDF) によれば、すべてのフォロー関係の22.1%にすぎない。また、アカウントの67.6%が、自分がフォローするアカウントの誰からもフォローされていない
- 2010年の、外国での調査結果であることに注意。おそらく日本では文化が異なる (相互フォロー推奨、など)
- 収集した企業ツイートを、その内容から感謝、挨拶、謝罪、宣伝の4タイプのどれかに分類した。それらの分類は、4タイプに固有の語彙を設定した辞書を作成し、各ツイートがそれらの語彙をどれだけ含むかで自動的に判定した
- 分類結果を以下のように分類した
- 挨拶と感謝が多数を占める挨拶・感謝型
- まんべんなくすべての類型を含むバランス型
- ひたすら宣伝を行う宣伝型
- 宣伝と感謝が多い宣伝・感謝型
- 調査対象の企業アカウントフォロワーと別に、ランダムに抽出した500アカウントを対照群として用意した
- 企業アカウントごとに、フォロワーの全ツイート数を比較すると、ほとんどの企業アカウントはランダム群よりもツイート数の多いユーザーを多く含む。つまり、Twitterを積極的に使っているユーザーほど、各企業アカウントをフォローする傾向がある
- 企業アカウントのフォロワーは、全体にランダム群よりも被フォロー数の多いユーザーの構成比が高い。つまり、彼ら自体が、ほかのユーザーより多くのフォローを受けている、活発なTwitterユーザーなのである
- おそらく、実際には広告宣伝目的のbotや自動相互フォローアカウントが多数を占めると思われる
- 各企業アカウントのツイートに占めるリプライの割合はばらつきが多いが、「挨拶・感謝型」「宣伝・感謝型」のアカウントで返信比率が高そうに見える。企業からの返信が活発なアカウントでは、顧客からの返信も活発だという関係がありそうである
- リプライについてセンチメント分析を行うと、企業→顧客、顧客→企業の会話間で正の相関があるように見える。特に宣伝・感謝型アカウントではその傾向が強い。宣伝という、本来は一方的なコミュニケーションが行われるなかで、顧客も企業もポジティブに対話している
- 企業アカウントのフォロワーたちはどれくらいの頻度で企業のツイートをRTするのか。ほとんどのフォロワーがわずかな回数しか返信やRTを行わないが、ごく稀に、非常に多くの返信やRTを行う人がいる
- 返信とRTの同時分布を描くと、両方とも多いフォロワーはほとんどいない。つまり、返信するフォロワーとRTするフォロワーは別の存在なのである。したがって、返信を通じた顧客との対話戦略と、RTを促進することを狙った情報拡散戦略は、ターゲットを分けて考えるべきである
- RTによって情報が拡散されるので、RTを読む可能性のある人数を間接効果という。間接効果は、企業アカウントをRTしたユーザーがもつフォロワー数 (被フォロー数) をすべて加算したものである
- 企業アカウントの被フォロー数と間接効果の間には、明確な関係はない
- 企業アカウントの被RT数と間接効果にも、明確な関係はない。企業フォロワーがいくらRTしても、彼らのフォロワー数が少なかったり、その先でRTされなかったりした場合、最終的な到達範囲が広くなるとは限らない
- 個々の企業ツイートの間接効果の分布を対数軸で見ると、多くの点が直線上にあり、べき分布しているとみなせる。つまり、大半の企業ツイートはほとんど拡散されていないが、非常に稀に、延べ1万人近くにツイート (の一部) が到達している
■ 論文: 商品に関するTwitter上のコミュニケーションと販売実績の関連性分析
商品に関するTwitter上のコミュニケーションと販売実績の関連性分析
http://www.orsj.or.jp/archive2/or58-08/or58_8_436.pdf
or58_8_436.pdf(256)
■ 書誌情報
@article{110009631378, author="鶴見, 裕之 and 増田, 純也 and 中山, 厚穂", title="商品に関するTwitter上のコミュニケーションと販売実績の関連性分析", journal="オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch", ISSN="00303674", publisher="公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会", year="2013", month="aug", volume="58", number="8", pages="436-441", URL="https://ci.nii.ac.jp/naid/110009631378/", DOI="", }
■ メモ
- マーケティングの最終的な目的の1つである「商品の販売実績」と「SNS上のコミュニケーションに」関連性があるのか?
- 吉田、石井、新垣 (2007): ブログ上の書き込みとテレビ広告出稿量が映画の興行成績に与える影響を微分方程式によりモデル化した
- 濱岡、里村 (2009): 一般消費財も分析対象とし、マーケティング変数とブログ上の書き込み数の効果係数を比較した
- 本研究では、一般消費財の飲料を分析対象に、代表的なSNSの1つであるTwitter上のコミュニケーションと商品の販売実績の関係性について分析する
- 先行研究を踏まえて、感性情報を考慮した。先行研究でブログ言及数が販売実績に有意な影響を及ぼしながら、その係数が負 (言及数が多いほど販売実績が減る) であったのは、ポジティブな記述とネガティブな記述を識別せずに分析したためと考える。そこで、本研究ではツイートのポジティブとネガティブを識別したモデルを構築する
- 分析対象の商品は2011年秋に市場投入されたビール系飲料の新製品「A」
- 期間は2011年9月12日から2012年2月5日
- 販売実績変数と価格変数はPOSデータ (NPI) から京浜圏、阪神圏、中京圏の234店舗のデータを抽出して用いた
- 販売実績にはPI (来店客1000人あたりの販売点数)、価格の変数は対象商品の総販売金額を、総販売点数で割って算出した
- 対象商品の期間最大販売価格を1とする価格掛け率を算出した
- TVCM出稿量の変数にはビデオリサーチが調査した関東・関西・中部の15秒換算の世帯GRPを利用した
- ツイート数の変数は、商品名が記載された書き込みを定期的に収集した
- ツイートの感情判定には、SPSS Text Analysis for Surveysを利用し、「良い・悪い・中立」の3つに分け、「良い・悪い」の週別ツイート数をカウントした
- ブログ書き込み数についてもクローラーで収集した
- 各データをステップワイズで投入し、調整済R2乗値を比較した
- 結果として、「価格・GRP・ポジティブツイート数」を用いたモデルが最も良い結果となった
- 価格変数、ポジティブツイート数は5%有意で、ツイート数は価格並に販売実績と関連性の強い変数であった
- 当期GRPは非有意
- 本研究ではポジティブ・ネガティブの分類を行った上でモデルに組み込んだが、分類せずにひとまとめにツイート数としたモデルと大差はなかった
- つぶやくから販売実績が伸びるのか、販売実績が伸びるからつぶやくのか、前後関係が不明
- 当期GRPは非有意だったが、ツイート中にCMを見たことに関するツイートもあるため、Twitterを介して影響を及ぼしていると想定される
- 上記の課題を検証するため、パス分析を行った
- ツイートが先か、販売が先かを検証した結果、「ポジティブツイート数→販売実績」のパスは5%有意であり、正の効果を示していた。つまり、ツイート数が増えることで販売実績が伸びるという因果の方向が確認された
- Twitterを介したGRPの効果についても、5%有意で正の効果が見られた。このことから、テレビ広告はツイートの発生に影響を与えている (間接効果) と言える
- 分析結果から、ツイート数が販売実績と正の有意な関係を有していることが示された。このことから、Twitterにおけるコミュニケーションは、商品や広告がもつ「話題性の代理指標」であるという仮説を提案したい
- 今後は、感情ではなくテキストの内容に踏み込んだ分類を用いた分析を検討する必要があるだろう
■ 論文: ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略に関する考察
ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略に関する考察
http://repository.tokaigakuen-u.ac.jp/dspace/bitstream/11334/413/1/M_thesis_Akiyama_20140826.pdf
M_thesis_Akiyama_20140826.pdf(495)
■ 書誌情報
@article{40019667880, author="加藤, 智也", title="ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略に関する考察", journal="名古屋芸術大学研究紀要", ISSN="0388-4511", publisher="名古屋芸術大学", year="2013", month="", volume="34", number="", pages="91-101", URL="https://ci.nii.ac.jp/naid/40019667880/", DOI="", }
■ メモ
- 本研究では、ソーシャルメディアを有効に活用したマーケティングを実践するための戦略を体系的にまとめ、その実践手順を提案する
- コトラーのマーケティング3.0論
- 価値主導の段階
- ソーシャルメディア上の評判が決定的な影響力を持つ時代になった
- 消費者は新しい信頼できる広告形態としてクチコミに期待している
- 企業が顧客の信頼を取り戻すには以下の3つのコンセプトが重要である
- 共創
- コミュニティ化
- キャラクター化
- リーのグランズウェル論: グランズウェルを活用した戦略を立てるためには、以下の4段階のプロセスに従う必要がある
- 人間: 現在の顧客の行動
- 目的: 活用目的を明確にする
- 傾聴: 顧客理解を深める
- 会話: 自社のメッセージを広める
- 活性化: 熱心な顧客の影響力を最大化する
- 支援: 顧客同士が助け合えるようにする
- 統合: 製品設計のプロセスに顧客の声を取り入れる
- 戦略: 自社と顧客の関係をどう変えたいのか
- インティマシー・ロックイン: 好意や親しみ
- メンバーシップ・ロックイン: 会員制、ポイント制度
- コンビニエンス・ロックイン: ワンストップ型、補充型
- ブランド・ロックイン: ブランドイメージ
- ラーニング・ロックイン: 学習、習熟
- コミュニティ・ロックイン: 参加者が増加することによる、所属の価値
- シリーズ・ロックイン: ラインアップを揃えたい、買い続けたいという心理
- テクノロジー: どんなアプリケーションを構築すべきか
- SNSにおける平均の友人数は5人以下が圧倒的に多く、半数は30人以下である
- 2012年時点
- bdb2017年6月度調査によるフォロワー数
- 事例研究
- リクルートSUUMO
- botを使って物件情報を発信したが、顧客からの反応は得られなかった。「スーモ」というキャラクターを使い、身近に感じてもらえるようなコミュニケーションを行う戦略に転換した
- 住宅情報を固定ファンとして見てくれるユーザーは少なく、マーケティングに活用するのは不向き
- ブランドイメージを定着させるための戦略を展開することが重要
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパン
- 従来のマーケティング活動ではカバーしきれない層へのアプローチ
- 前年のイベント体験者にクチコミの発信源になってもらった
- 伊藤ハム
- 「飾り切り」の実演を配信し、「飾り切り=伊藤ハム」を定着させた
- キャラクターが前面に立ってコミュニケーションを行うことでユーザーを獲得
- ファンからの投稿には100%コメントを返す
- ブランドスイッチが生じ易い商品の場合は、潜在顧客を獲得することより、ブランドを指名買いしてくれるコアなファンを増やすことが重要
- 良品計画
- 自社サイトはタイムリーさに欠ける
- 「いいね」ボタンを押すだけのライトなつながりを作る
- コメントが増加し、商品に対する反応が見えるようになった
- Facebookに投稿したユーザーの41%が店舗に来店、900万円の売上に貢献
- 小売業の場合は、潜在顧客を拡大することより、リピーターを増やすことが重要
- アメリカン・エキスプレス・インターナショナル
- Facebookのアンケート機能を活用して意識調査やクイズ等
- 社会貢献に取り組む学生団体にファンが投票し、得票数に応じて支援金を分配
- コーズリレーティッドマーケティング
- 一休
- 企業とユーザー、ユーザー同士のコミュニケーションが図れる場を提供
- SNSから自社サイトへの呼び込みに成功し、ファンを獲得
- 花王
- 独自SNS
- カテゴリー横断型のマーケティングコミュニケーションを推進
- 資生堂
- TVCMによりブランド認知度が80%〜90%になり、Webに切替
- ブランド認知度が高い場合には、費用を掛けてTVCMを行うよりも、Webを活用したマーケティング戦略が費用対効果の面で有効である
- 自社サイトだけでは既存顧客に十分な情報を届けることができないため、SNSが有効
- ロコンド
- ECサイトでは顧客との接点を簡素化・効率化する傾向にあるが、ロコンド社は実店舗に負けないサービスの提供を目指している
- 顧客が体験したそれらのサービスの体験を他の顧客に疑似体験してもらうためのツールとして活用
- ANA
- 航空業界はインターネットでの直販にシフトし、SNSはコミュニケーションに不可欠なチャネルとなっている
- ある程度ブランドが認知されている企業の場合、ブランドイメージを向上することが必要
- 宣伝目的よりは、自社のブランドイメージを高めることで、複数の選択肢があった場合に自社を選択してもらえる関係性を構築
- ソフトバンクモバイル
- Twitterによる問合せ窓口を開設、1:1:n (やり取りが公開される) のオープンなコミュニケーションの場を提供
- 具体的なクレームや問合せにまでは至らない、潜在的な不満や不便を拾い上げられる
- 大和ハウス工業
- デル
- Twitterではお買い得情報やテクニカルサポート情報を発信
- Facebookでは製品の紹介や使い方の紹介など販売色の強い情報を発信
- サポートにTwitterを活用
- ドクターシーラボ
- 独自SNSを開設
- ドミノピザジャパン
- 一般の「ドミノピザ」に対するツイートを検索して返信
- 「いいね」の多いユーザーを部長・課長に任命する等ユーザーを巻き込む
- 新商品の販促イベントでは、マスメディアの告知をせず、Twitter、Facebookを中心とした告知を行った結果、クチコミが広がり、スタート早々から各店舗で行列ができた
- ニッセン
- 独自SNSで商品レビュー
- ネガティブなレビューであっても、改善の努力や誠意のあるお詫びをすることで、全体としての顧客満足度は向上し、売上拡大に繋げることができる
- Twitterでは緩い情報を発信
- JAL
- 「共感」と「誠実」をモットーに実名で発信
- Facebookアンケート機能を活用し、事前にキャンペーンに対する要望や投票を行う
- ネスレ日本
- 自社サイトが会員向けのプル型なのに対し、SNSは会員の友人を含めたプッシュ型のメディア
- SNSではメーカーやマスメディアでは想定しえない特殊な事例や利害関係に束縛されない自由な意見が情報として集積される
- BMW
- 返信等には対応せず、MINIのオーナーからその友人への情報伝達を目的としている
- デザイン面等で差別化された商品の場合は、熱烈なファンが多く、そのファンがSNSで車の良さをアピールすることで、新規顧客獲得につながる可能性が高い
- ベルリッツ・ジャパン
- 一方的な情報発信に陥らないようにユーザーとのコミュニケーションを図る
- ライフネット生命保険
- 「全社員広報」をスローガンに、SNSに関しても効果的な活用を推奨し、研修を実施
- ローソン
- ユーザー層の違いから複数のSNSを並行で活用
- 企業のロゴより人間のアイコンの方が伝搬力がアップする
- 日本コカ・コーラ
- 会員数1000万人の自社サイト「コカ・コーラ パーク」を活用
- リクルートSUUMO
- 事例の分析
- 分類の視点
- 商品の特性の視点
- ターゲット層の視点
- 情報の種類の視点
- 顧客のニーズの視点
- 分類の視点
- 情報の種類で分類
- 商品以外の話題を発信
- 商品そのものではないが、同じ分野の情報を発信
- 商品そのもののお買い得情報を発信
- 商品を購入するターゲットにユーザー同士にコミュニケーションの場を提供
- 商品に関連する情報を発信し、ユーザー同士のコミュニケーションの場を提供
- 顧客からのクレームや新商品のアイデアを収集する
- 顧客のニーズで分類
- 広い範囲の一般的な情報収集: 話題、雑学、キャラクター等
- 広い範囲の商品の情報収集: キャンペーン等
- 特定の狭い範囲の一般的な情報収集: 企業が発信する特定の情報を収集
- 特定の商品の詳細な情報収集: 良い物を安く購入するための情報収集
- 購入後の問題解決や有効活用のための情報収集
- 事例類型と顧客ロックイン戦略との関連
- ソーシャルメディアでの活用に該当するかの評価基準を設定
- ソーシャルメディアを活用したマーケティング戦略
- 顧客ロックイン戦略との関連性から6種類を抽出
- 評価という観点では、これらの戦略に基づいているかどうか検証すればよいのでは
- 戦略の詳細は論文参照
■ 評価軸について
大まかに以下の2つの軸で、企業アカウントの "効果" を評価する。
■ 企業アカウントの方向性
企業アカウントが目指す方向性が、世間の認知と合致しているか、アンケートをもとに以下の軸でポジショニングする。
- 親密さ (親近感)
- 信頼度
- 第一想起
- 助成想起
または、一般的なブランドイメージ調査をもとにコレスポンデンス分析でポジショニングする。
参考: コレスポンデンス分析によるブランドイメージ調査 (クロス・マーケティング)
■ フォロワーの質
フォロワーが、自社のツイートを
- 高頻度に
- ポジティブに
- 広く
拡散してくれるかを評価する。
- 高頻度に: 一定期間内にフォロワーが自社ツイートやURLを (リ) ツイートした頻度を調査
- ポジティブに: 自社ツイートの引用リツイートやURLツイートに付随するテキストと、その前後のツイートにおけるポジ / ネガ度を調査
- 広く: フォロワー数、ツイートあたりのいいね / リツイート数で評価
■ メモ
- 購入データと紐付けることで、商品購入後にユーザーのセンチメントがどの程度ポジティブになったか、が測れるのではないか。ツイート検索では、商品名が含まれないと抽出できないが、購買日時がわかっていれば、その後のツイートを対象にセンチメント分析が可能になる
- 参考: Twitter、個人の全ツイートがダウンロード可能に。その背景とティム・バーナーズ=リー氏が描くオープンデータとパーソナルデータの未来。 – BI for everybody.におけるmidata Hackathon 2012における分析事例