2020年度オンライン研修雑感もご参考にどうぞ。
■はじめに
私は、今のところ研修講師[1]を主な仕事にしているわけですが、当然、2020年以降、オンラインでの研修というのが増えてきました。[2]

その中で、1年経つのに、研修会社からこうやれば高品質な研修ができますよ、といったノウハウの共有がまるでないなと感じています。外部講師に研修実施を委託する以上、その外部講師も含めての「品質」ですから、何かしろ品質向上のためのアドバイスがあれば良いのに、何もありません。
正確には、何かあったんですが、「1日中ヘッドホンを付けていると受講者は疲れますので気を付けましょう [3]」とか、「小さな画面で受講する人もいますので気を付けましょう[4]」とか、本当に1年間オンライン研修で商売してきたのか、というものだったので、自分でより良いオンライン研修を実施するためにどうすれば良いか、調べてYouTube動画にしてみました。

ここでは、オンライン研修において、講師が伝えたいことを受講者に明確に伝えるために、大きくは2つのテーマで調査、検証をしています。
- ハードウェアの選択、設定
- ソフトウェアの選択、設定
ここで言うハードウェアとは、マイクやカメラ、必要に応じてライト (照明) や書画カメラといった機器です。パソコンについては、そこそこ良いものを買いましょう、と。ソフトウェアとは、研修のライブ配信に用いられるZoomやGoogle Meetなどのビデオ会議ツールと、それらにカメラとスライドなどの映像をミックスして配信するXSplit Broadcasterなどの配信ソフトウェア、その他オンライン研修において講師が示しているもの、指示などを伝えやすくするためのソフトウェアを指します。シリーズ、と銘打っているように、実際にはハードウェア編、ソフトウェア編の中に、さらにいくつかのコンテンツを分割して作成しています。
なお、このシリーズでは、オンライン研修に適したカリキュラムやグループワークの進め方、出欠管理の仕方といった企画、事務的な要素は取り上げません。単に、「クリアな音質、画質で講義の内容を受講者に伝えるにはどうするか」という部分にフォーカスしています。カリキュラムに関して言えば、動画の中でも毎度言っていますが、そもそも「9時17時見ず知らずのオッサン・オバサンの喋りを聞き続ける。わかっていようがいまいが、とにかくスケジュールが絶対」という現在の社会人研修のスタイルがおかしい[5]ので、そこから変える必要がありますが、外部講師が自由にできるものではないので、コンテンツとしては取り上げません。
また、オンライン配信のためのハードウェアやソフトウェアについては、上を見ればどこまでも高額な製品が存在するものです。マイクも、スタジオクオリティの高級マイクがあれば、カメラも4K高精細な、そもそもWebカメラではないビデオカメラなどがあります。とはいえ、たかがオンライン研修です。私たちは映画監督でもテレビマンでも、アーティストでもないわけです。そのため、このシリーズでは、研修講師が支出できる金額で、できるだけ研修の品質を高める、ということをテーマに、現実的な範囲の製品[6]で、比較、検証をしています。
■ハードウェア編
オンライン研修において、クリアに音声、映像を伝えるために必要なハードウェアについて、比較、検証しました。
■1. モチベーション
この動画では、ハードウェア編の、さらにいちばん最初の、このシリーズ全体を作成したモチベーション的な部分をご紹介しています。なぜ研修講師がオンライン研修でハードウェアやソフトウェアを意識しなければならないか、といったことをお話ししています。
■2. マイクにちょっとこだわる
この動画では、オンライン研修において最も重要な要素であるマイクについて、取り上げます。受講者がパソコンの前で、9時17時、ずーっと講師の話を聞き続けなければならない、とってもレガシーな研修会社の研修で、少しでも快適に受講でき、教育効果を高めるためには、どのようなマイクを使い、どこを工夫すればよいのかを紹介します。
■3. カメラにちょっとこだわる
この動画では、オンライン研修において講師と受講者の距離感を決める要素である、カメラについて、取り上げます。受講者がパソコンの前で、9時17時、ずーっと講師の話を聞き続けなければならない、とってもレガシーな研修会社の研修で、ネットの向こうにいる講師のことを信用してもらい、教育効果を高めるためには、どのようなカメラを使い、どこを工夫すればよいのかを紹介します。
■ソフトウェア編
オンライン研修において使用するソフトウェアを適切に設定し、できるだけ高品質な音声、映像を伝達する方法を検証しました。
■1. モチベーション
この動画では、ソフトウェア編の、さらにいちばん最初の、このシリーズ全体を作成したモチベーション的な部分をご紹介しています。なぜ研修講師がオンライン研修でハードウェアやソフトウェアを意識しなければならないか、といったことをお話ししています。
■2. Zoom活用法
この動画では、オンライン研修において最も広く使われるZoomについて、取り上げます。受講者がパソコンの前で、9時17時、ずーっと講師の話を聞き続けなければならない、とってもレガシーな研修会社の研修で、少しでも快適に受講でき、教育効果を高めるためには、Zoomをどのように設定し、どこを工夫すればよいのかを紹介します。
■オンライン研修でも情報保障を
上記のシリーズではありませんが、オンライン研修における情報保障について紹介します。
■Zoomのオンライン研修で講師の音声に (タダで) 字幕をつける〜UDトークの活用〜
Zoomによるオンライン研修、オンライン授業において、講師の音声を文字起こしして、字幕としてZoom画面内に表示する方法を紹介しています。Zoomの外部字幕サービス利用機能と、「コミュニケーション支援・会話の見える化アプリ」UDトークを組み合わせて利用しています。
■参考: 大学などにおけるオンライン授業のノウハウ集
- 東北大学 オンライン授業グッドプラクティス
- 東北大学 教員向けZoomマニュアル
- 東北大学 Zoomによる講義で通信量を減らすには
- オンライン授業・Web会議ポータルサイト @ 東京大学 よりよいオンライン授業をするために
- Teaching Online@京大
- 名古屋大学 オンライン授業に初めて関わる教員のための教授法(ティップス)
- 専修大学 大学のオンライン授業を展開するための簡易ガイド
- 九州大学ビジネススクール Zoomを用いた遠隔オンライン授業の実施運営に関する資料
- Zoom用マイクの音比較 – うらの研究室@北海学園大学
- 【PDF】オンライン学習時の資料提示方法の工夫 - 東京都教育委員会(1) (2)
■注
- [1]いわゆる研修会社が企画、開催する講習会を、外部講師として受託し、実施しています。
- [2]逆に、この期に及んで教室で集合研修したい、受けたい、というニーズが理解できませんが。
- [3]どうやって!?
- [4]だからどうやって!?
- [5]学校と違って、社会人は労働契約に基づく勤務時間があるので、研修においても、好きなだけ長時間勉強する、とか、逆に知っているから省略して別のことをする、というのが許されず、勤怠管理の面で9時17時という時間を決めることが欠かせないのは理解していますが。
- [6]つまるところ、私が買える範囲です。
関連ページ: 2020年度オンライン研修雑感
カテゴリ: [教育]